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イメージからすると「カルシウム不足」と簡単に思われがちな骨粗鬆症ですが、実は原因はそんなに簡単な話ではありません。

カルシウム不足というのは確かに原因の1つに挙げられますが、ではカルシウムが充分だからと言って、それが骨にしっかりと密着するかというと話は別なのです。

また、骨粗鬆症の原因には大きく分けて2種類が存在しています。

1つは原発性骨粗鬆症といわれるもの、そしてもう1つは続発性骨粗鬆症です。ここでは先ず前者の「原発性骨粗鬆症」の原因についてご紹介します。

原発性骨粗鬆症とは?

原発性骨粗鬆所とは、いわゆる一般的に知られている骨粗鬆症のことです。

大きな原因は「加齢」。現在骨粗鬆症と診断されている人の多くはこちらのタイプに分類されます。

このタイプの骨粗鬆症には、原因となる「病気」は存在しません。加齢や閉経という人間の自然な老化に伴って引き起こされるものなのです。

男性にもみられるのですが、割合的にはやはり女性が圧倒的に多いのが特徴と言えます。

閉経などのホルモンの分泌の変化が骨密度に関わることは今までもわかっていましたが、最近では遺伝的要素や栄養不足、身体を動かさないという「生活習慣」も骨粗鬆症の原因として明らかになってきています。

原発性骨粗鬆症の主な原因3つ

原因その1:加齢

女性のみの話をすると、女性の骨密度というのは大体18歳頃にピークを迎えることがわかっています。

それから健康的な生活を続ければ40歳まではその状態の骨密度で過ごすことができます。しかし、更年期に差し掛かってくる50歳前後から女性の骨密度は急激に低下するのです。

骨を形成するために必要な「カルシウム」は、腸より体内に吸収され、骨に摂りこまれていくものなのですが、年を取ると、腸からのカルシウム吸収がうまくできなくなっていくのです。

これが加齢による骨密度低下の原因の1つです。

女性は男性よりも骨密度の低下開始が早くしかも長寿な人が多いので、骨に必要なカルシウムが不足する時期が長くなり、必然的に高齢になるにしたがってその症状が重くなってしまうのです。

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原因その2:更年期と閉経

原因1でも触れましたが、女性は更年期にさしかかる時期から骨密度が急激に低下を始めます。

これは女性の体内でホルモンの分泌について大きな変化が起こるからです。実は女性ホルモンというのは、体内に鳩首したカルシウムを骨に形成する際に重要な役割を果たしているのです。

ですので、女性ホルモンの減少が骨密度低下につながっていると診断された場合は、女性ホルモンに類似した薬を使用して骨密度を増やす治療をしたりすることもあります。

原因その3:間違ったダイエット

ダイエットの本当の和訳をご存知ですか?それは「食事節制」です。つまり栄養のとれた食事をすることが、本来の意味でのダイエットなのです。

しかしながら、現代の社会では「痩せ信仰」ともいうべき考え方が蔓延しているので、若い女性などは過度なダイエットをしがちです。

特に成長期に極端な食事制限をするダイエットをすると、将来の骨密度に大きく関わってくるのです。

骨密度を増やすべき思春期にダイエット経験がある人、また今まさにダイエットをしている人は、骨密度をしっかり計測してみましょう!

薬によって引き起こされる骨粗鬆症の原因とは?

原発性骨粗鬆症は、加齢や閉経と言った人間の自然な老化に伴う骨粗鬆症でした。

しかし、骨粗鬆症には他にも原因となることがあります。それが続発性骨粗鬆症といわれるものの原因です。

具体的には特定の病気や、服用している薬の影響で骨密度が下がってしまうために起こる骨粗鬆症です。

続発性骨粗鬆症を招きやすい病気や薬

生活習慣病系統の病気による骨粗鬆症

  • 糖尿病…糖尿病では、骨密度としては異常がない場合が多いにも関わらず、太ももの付け根の骨折リスクが通常の2~4倍に上がります。糖尿病は慢性的に高血圧な状態になることでも知られていますが、この高血圧が体内の活性酸素を増やし、骨内にある骨コラーゲンでも脆弱な部類の悪玉架橋を増加させてしますのです。そうすると骨質は悪くなり、骨折のリスクが急激に高まってしまうのです。
  • 慢性腎臓病…慢性い腎臓病(CKDという)は、腎臓の機能低下や異常が長期間続いてしまう病気です。危険度は糖尿病と同様で、心筋梗塞や脳卒中などを起こしやすくなってしまいます。腎臓というのは体内の老廃物を排出する働きを担っているだけでなく、体内のミネラル(カルシウムもミネラルです)濃度を調節するという働きもあるのです。つまり腎臓が正常に働かないということは、血中のカルシウム濃度が減ってしまい、それを補うために骨からカルシウムが溶けだすことになってしまうわけです。さらには、活性酸素が増加することで骨質も低下してしまう危険性が非常に高いのです。
  • 動脈硬化…加齢とともに、動脈の血管というのは硬くなってしまうものですが、その状態が一定のレベルを超えるとそれは動脈硬化という病気になってしまいます。動脈硬化が重い人というのは、糖尿病や高血圧を併発している人も多く、それらが重なってやはり骨質の低下を招き、骨折リスクが上がってしまうのです。
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)…これは長期にわたり気道が閉塞状態になる病気の総称です。具体的には肺気腫や慢性気管支炎などが挙げられます。これらの病気になる主な原因としては喫煙があるのですが、喫煙は気管支系の病を引き起こすだけでなく、胃腸の働きも妨げるので、それにより腸からのカルシウム吸収が妨げられてしまうのです。このことから、骨質や骨密度が低下していく環境を作ってしまい、骨折しやすい身体になってしまうのです。

薬による骨粗鬆症

ステロイド性骨粗鬆症

ステロイド性の骨粗鬆症は、薬による骨粗鬆症の代表と言えるものです。炎症に作用するステロイドは、皮膚炎やアトピーで頻回に使用される薬ですが、ここで話題にしているのは服用しているものになります。服用しているステロイドでは実は使用後3ヶ月以内でも骨への影響があると言われているのです。そして長期間使用している人の実に5割で骨粗鬆症を発症しているという報告もあるのです。ステロイド薬を長く使用する病気には間接リウマチや気管支喘息、膠原病などがあります。ですので、こうした病気でステロイド薬を服用するようになった際には、骨密度を下げないための対策をステロイド薬使用と同時に始めることが肝心です。