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自閉症という病気には、いくつかの特徴的なコミュニケーションの取り方のコツがあります。
その中の1つに、「イラスト」を使ったコミュニケーションというものが挙げられます。
これは、お互いの意思疎通に使う時もあるのですが、それよりも、自閉症児に社会生活において「OKなこと」と「NGなこと」を伝える時に用いられていることが多い手段です。
今回はこの「イラスト」や「絵カード」を利用したコミュニケーションについてご紹介します。
自閉症児と接するときに
このサイトでも何度となくご紹介していますが、自閉症と言うのは先天的な障碍であるので、周囲の人間の育て方や家庭環境、心因性のショックが引き起こされるものでは決してありません。
心因性のショックなどが原因で、字のごとく「心を閉ざし」て、他者とのコミュニケーションが取りづらくなることは確かにありますが、これは現在カテゴライズされている「自閉症」や「発達障碍」の内には入るものではないのです。
さて、自閉症には以下のように、この病特有の障碍特性があります。(ただし個人によって特性には強弱があったり、出る特性・出ない特性などがあります)
- 多動であることが多い
- 言葉の発達の遅れが著しい(例:オウム返しでしか返答がない、他者が嫌がることばかりを言って「しまう」など)
- 会話がかみ合わない
- 指さしで相手に要望を伝えるのではなく、そこまで連れて行って説明する(クレーン現象)
- 視線が合わない(合わせない)、身体的接触を極度に嫌がる
- 感覚過敏、または感覚に一貫性がない
- こだわりが著しい
- 自分のいる「現状」の把握がしづらい(今は何をする時かが分かりにくいということですね、徘徊や迷子に繋がります)
このような「障碍特性」のために、周囲との軋轢が大きくなり、強いストレスにさらされている自閉症児はたくさんいます。
ストレスが大きく大きくなっていってしまうと、ついにはパニックや自傷行為、他傷行為などの二次的な問題が生じるようになります。
コミュニケーションのツールとしての「絵カード」
自閉症児(これは子どもだけでなく大人にもいえます)は、言葉を駆使して感情や要望を伝えることは不得手かもしれませんが、視覚的な情報から物事を読み取るチカラについては秀でたものがあります。
ゆえに、この特性を生かすことで、自閉症児自身はもちろん、周囲の人間もストレスを多くすることなく、コミュニケーションがとれるようになるのです。
具体的には、指示やスケジュールを伝える時、ただ言葉で「明日は遠足でバスに乗るよ」と言うのではなく
- (カレンダーを見せて)今日は○日です。
- 明日は△日です。
- 明日はバスに乗ります(ここでバスの絵や写真を見せる)。
- そして□□でお弁当を食べます(またここで目的地の写真と、お弁当のイラストを見せる)
とすると、こちらの意図は言葉で伝えるよりも明確に相手に伝わります。
他にも、同じ空間を時と場合によって使い分けることが苦手なことが多い自閉症児には、空間を物理的にしきってしまった方が、お互いのストレスが少なくて済みます。
これはつまり、ここは勉強をする机、こちらはご飯を食べるスペース、あちらはおもちゃで遊ぶスペース、と言うような感じです。
通常学級の教室というのは、勉強も体育の着替えも、給食も遊びも、一つの場所を適宜使い分けなくてはならない場所なので、実は自閉症児にとってはかなりストレスフルな場所とも言えるのです。
先述のように空間を具体的な「目的」で仕切る時も、そこに「ここは何をするところか」ということを描いたカードなどを掲げておくと、自閉症児はパニックにならず対応できることが多くなります。
家庭ではスペースの問題で、なかなか全ての行動を「専用」の場所で行えることは少ないですが、そうした場合でも、このスペースはAとBとする場所、と区切ってイラストなどで掲示をしておく方が、一緒に生活する人間同士、お互いが穏やかにいられる時間が増えるはずです。
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