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世の中の自閉症に対する理解が少しずつ広まっている現代ですが、当の自閉症者本人や、彼らと日々接する家族にとっては、毎日が模索であることに変わりはありません。

しかも、今はまだ、学校関係者や自治体においても自閉症を「正しく」理解してくれている人ばかりではないので、わかってない人に色々と説明をしながら日々を過ごすことに、当事者たちはかなりの疲労とストレスを感じています。

しかし、実は現在、自閉症の人をサポートする資格が、認定資格ではあるのですが存在しているのです!

自閉症スペクトラムサポーター(自閉症スペクトラム支援士)という資格がある

現在、日本には、日本自閉症スペクトラム学会という学会があります。

この学会は自閉症スペクトラムについて様々な活動を行っているのですが、その1つに「自閉症スペクトラムサポーター及び支援士」の資格認定というものがあります。

この「自閉症スペクトラムサポーター」や「自閉症スペクトラム支援士」というのは、一体どのようなことを行う・行える資格になるのでしょうか?

自閉症スペクトラムサポーター

自閉症スペクトラムサポーターは「自閉症スペクトラムを抱える人たちのサポートを目的とし、具体的には自閉症スペクトラムの独特の感覚を理解し、自閉症スペクトラムを抱える人が、社会で心地よく生きていくためのサポートをする」という専門家です。

自閉症スペクトラム支援士

概要は自閉症スペクトラムサポーターと基本的に変わりませんが、より自閉症スペクトラムについて詳しいことを理解している、自閉症スペクトラムサポーターの上位資格になります。

以上2つの資格は、先にも述べました日本自閉症スペクトラム学会が認定している資格ですが、資格取得には大学で指定科目の単位を修得することが必要であると言った、かなり専門的な資格であるといえます。

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自閉症スペクトラムサポーター及び支援士の資格はどうやって取るの?

日本自閉症スペクトラム学会が認定している資格である自閉症スペクトラムサポーター及び支援士ですが、資格を取るにはそれなりに勉強や実務を積む必要があります。

具体的には、大学に行き、指定科目の単位を修得することは必須であり、特別講習「自閉症児・者への支援」の受講や、講習内で実施される試験への合格が必要です。

また、教員や保育士など、実際に自閉症児と関わる仕事をしている実務経験者以外は、日本自閉症スペクトラム学会が指定する施設(大学など)において実習が必要であり、これらの要件をすべて満たさなければ資格を認定されないという認定資格としてはハードなものでもあります。

ただこれは、自閉症スペクトラム当事者へのサポートが、それだけ勉強と実務、どちらにも長けていないとできないという現実の反映でもあるのです。

ちなみに資格申請の要件は次の通りです。

前提
日本自閉症スペクトラム学会の個人会員であること

付加要件

  1. 学校(幼・小・中・高・大・専修学校等)の教員であること
  2. 公的な児童相談機関の職員(非常勤職員を含む)であること
  3. 保育所や児童福祉施設の職員(保育士、指導員、各種専門職員(非常勤職員を含む)であること
  4. 日本自閉症スペクトラム学会が指定する民間の自閉症指導機関の職員(非常勤職員を含む)であること
  5. その他、自閉症に関連する医療機関(医師、看護士、理学療法士、言語聴覚士等)やその他の自閉症に関連する職種に従事する者、および従事していた者であること
  6. 学校心理士・臨床心理士・臨床発達心理士等の関連資格を有する者であること
  7. 大学・大学院の学生等で、現在、自閉症スペクトラム支援士(EXPERT)の資格を有するスーパーバイザーの指導の下に自閉症の臨床・研究に携わっている者であること
  8. その他、認定資格があると学会が認めた者

前提条件に、以上の付加条件のうちのいずれかを含んでいて初めて、資格の申請ができるということです。

資格が得られるとどんなことができるの?

さて、資格が認定されたら、その資格は一体何を示すことになるのでしょうか?

自閉症スペクトラム支援士の場合

  • 自閉症スペクトラム支援士(STANDARD)…自閉症の理解と支援について、基本的な知識を有し、自閉症者への支援を一定期間行っている人材であることを示す。
  • 自閉症スペクトラム支援士(ADVANCED)…実践経験の豊富さを活かして、教育現場や職場でリーダーとして活躍できる人材であることを示している。
  • 自閉症スペクトラム支援士(EXPERT)…その高度な専門性を活かして、研修棟で講師ができる。あるいは教育現場や職場で、コーディネーターという立場で動ける。さらに後進の指導に当たることができることを示している。