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インターネットで「自閉症」を検索すると「1歳で自閉症と言われました」という方の声を多く目にします。
それらの人は「自治体の行う1歳児健診で自閉症を疑われてとても心配(もしくはショック)です」という方が目立ちますが、それは確かに正直な気持ちであると言えます。
事実、自閉症は研究も進んできているので、1歳児でも自閉症化どうかをチェックができる項目などはないわけではありません。
ただ、1歳を迎えたばかりの子については、かなり重度の自閉症でない限り、なかなか正確な診断を下すのは専門家でも難しいというのが正直なところです。
早期に見つけて、早めに療育を開始できるのは本人にとってはもちろん、保護者にとっても大切なことにかわりはありませんが、あまり早期過ぎる時期に自閉症の心配をし過ぎて育児が苦しくなるのもつらいですよね。
では自閉症を疑うときはどんなことに気を付けていれば良いのでしょうか?
子どもの「本当の心地よさ」を考える
自閉症である子は確かに「育てにくい」と言われることが多くありますが、一方では「とても手がかからない子だ」という意見もあります。
つまり、同じ自閉症や発達障碍であっても、やはり個人のパーソナリティによって、その症状の出方や周囲とのかかわり方は大きく異なってくるということです。
ですので、「自分の心の支えにするため」や「何か『有力な情報』を得るため」に、自閉症児を持つ親御さんのブログを読んだりすることは有効ですが、そうしたものを読むことで自分がますます苦しくなってしまうのであれば、まずは「自分の子ども」が「本当に心地よいこと」はなんだろうと向き合うのも大切です。
子どもが寝ている時や、一人で遊んでいる時に、有力な情報を探すことをするのは大切ですが、子どもと向き合わずに、とにかくPCやスマホで情報を漁るような時間を過ごしていては、子どもをより良い方向へ導くきっかけを見失うことにもなりかねません。
極端な例ですが、大事なのは、ブログのAくんがどう過ごしているか、ではなくて、自分の子どもがいかに人生をより良く生きられるか、なのです。
自閉症児をもつ親御さんのブログには、本当にいろんなヒントがたくさん溢れているとは思いますが、決して、自分の子どもの「本当の心地よさ」だけは忘れないようにしましょう。
スイッチを探す作業
自閉症児は自閉症でない子に比較すると、色々な発達において「気になる点」が出てくるのは確かです。
特に顕著なのは「言葉の発達」や「他者とのコミュニケーション」における発達です。
しかしこれも、そこだけに注目をすると、自閉症でない子に比べて「遅れている」ように思えたとしても、他の発達ではそうした子よりも早く身につける「何か」があったりします。
たとえば記憶に関しては、自閉症児の方が多くのことを記憶することが早く現れたりします。
全国の新幹線の駅を覚えたり、莫大なキャラクターの名前を覚えたり、これらの特徴は自閉症児の子の方が長けているのです。
数字に興味がある子は、九九くらいなら随分早い時期に覚える子すらいます。
もしその子の興味で九九を早く覚えてしまえたならば、その子はみんなが九九で苦労するときにそのような思いをしなくて済みますよね。
自閉症児は、その他の「多勢」の人とは、発達のスイッチの順番が異なるだけともいえるのです。
もちろん、脳内のホルモンなどの関係で、対人コミュニケーションなど、訓練が必要になってくるものもありますが、その子のスイッチを周囲の大人、とりわけその子を育てている保護者が適切に見つけて一緒にONにしてあげれば、彼らだって心地よく彼らの人生を送ることができるわけです。
早期発見・早期療育の重要性は決して変わるわけではありませんが、長い人生です。
そしてその人生を生きるのは、自閉症とともに生きる彼ら自身です。
乳幼児期は彼らが「心地よい」と思える日々を多く過ごすことが、何より大切なことと言えます。
自閉症児との接し方ポイント「絵カードを使おう!」
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