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現在はまだダウン症そのものの治療法はありません。しかし、以前はかなり短かったダウン症の人の寿命は、医療の進歩によって近年大幅に伸びました。
それでもダウン症には一緒に考えなければならない、多くの問題が内包されているようです。

ダウン症に特有の合併症

ダウン症には合併症の危険があります。中でも特に多いのが心臓疾患で、全体の40%程度は何らかの異常を心臓に持ち、その中の数%は手術が必要なレベルにあるそうです。

他にも食道や十二指腸などの消化器官の異常、眼球内の屈折異常による近視・遠視・乱視、耳鼻科系の疾患などが先天的に見られる場合があります。
もちろんこれらの疾患が必ず現れるわけではなく、全く合併症の無い健康体の人もいます。

ダウン症で生まれて来ると、成長する間にいくつか注意しなければならない問題があります。
まず共通する身体的な特徴として、全身の筋肉の緊張度が弱いという事と、関節の自由度が大きいという事から、一般と同じ運動を行う場合には危険性を考慮する必要があります。

また心臓疾患がある場合は、激しい運動を強いてはいけません。ただし運動に対して距離を置いてしまうと、別な問題も引き起こしてしまいます。それは肥満の問題です。

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肥満も重要な問題の一つ

ダウン症の人には、一般よりも強い肥満傾向が見られます。重度の身体的疾患がある場合は、どうしても体を動かす事が少なくなり、運動不足になりがちです。

小さい内から肥満傾向が見え始め、余計に体を動かさなくなり、増加した体重で関節に負担がかかって歩行障害になるケースもあります。
そのままでは成人病も招いてしまいます。合併症の一症状として糖尿病が挙げられるのはこのためです。

運動不足が肥満を生み、同時に筋力の低下も起こり、更に運動能力が落ちて行くという悪循環に陥って、健康を損なう危険性も指摘されています。

ダウン症の人は体液循環が悪いという研究結果もあります。特にリンパ液の循環が悪く、血液と脳脊髄液の循環も良くないようです。体液循環の悪さで全身の代謝も低下して、これも筋力の低下や肥満の原因になります。
ダウン症の人の成長に遅れが見られるのは、体液循環の悪さが原因という考えもあります。

ここまで見て来た様々な問題は、ダウン症の人だけではなく一般的にも共通して言える事です。
しかし、ダウン症には合併症の危険性が少なからずあり、詳しいデータは無いようですが、現在でも平均寿命は50歳をようやく越える程度だと言われています。

これからの医療技術の進歩により、合併症の危険性を減らす事と、何よりもダウン症自体に治療の道を開く事が待たれています。