この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

骨粗鬆症を予防するには、何と言っても「カルシウム」が必要であるのは予想できますよね。

しかし、いくらカルシウムを充分摂っていたとしてもそれがしっかりと骨の形成にかかわるかどうかは、一緒に摂取する「ビタミン」やカルシウム以外の「ミネラル(無機質)」によるところが大きくなります。

では、骨粗鬆症を予防するためや、進行を食い止めるためには、普段の食事でどのようなことに気を付けていれば良いのでしょうか?

骨とカルシウムの関係とは?

カルシウムが骨の形成に必要不可欠なミネラル成分であることは、栄養学などに詳しくない人でも知っているほどに一般的に周知されています。

ではそれがどのように骨の形成に役立てられているかまで世間的に周知がされているかというと、それはあまり広く知られていないのが事実です。

ここでは、骨とカルシウムの関係について基本的な事をご紹介していきます。

まず、カルシウムが人間の身体に占める割合は、体重の1~2%と言われています。50kgの女性なら0.5kg、つまり500g~1000gがカルシウムということになりますね。

70kgの男性なら700g~1400gが体内のカルシウムということです。そして体内のカルシウムの99%は歯と骨に存在しており、残りの1%が血中や細胞内に存在しているのです。

ちなみに、血中のカルシウムの働きは血液の凝固に関わることや、筋肉の収縮に関わること、また神経伝達など幅広い生理作用に関与しています。

そしてこれはあまり知られていないのですが、骨というのは常に新しい骨に作り替えられている組織です。

骨の形成には新しい骨を作る骨芽細胞と、古い骨を壊す役割の破骨細胞が関わっており、この骨の代謝が行われることで、血中のカルシウム濃度は一定に保たれるという仕組みになっています。

こういうわけで、体内へのカルシウム摂取が慢性的に不足する事態になると、破骨細胞の働きが骨形成を上回ってしまうことになります。

つまり、結果としてカルシウム不足の状態で形成された骨は、カルシウム密度の少ないスカスカの骨になってしまうのです。

さらに、骨の形成にはカルシウムだけでなく、ビタミンDが大きく関わっており、カルシウムが充分にあっても、ビタミンDがなければ、健やかな骨形成は難しくなるのです。

SPONSORED LINK

カルシウムを上手に骨にするために!

カルシウムの推奨摂取量というのは、1歳ごとに細かく設定されています。

1~2歳の男の子では、女の子では、という具合にです。成人になるとその年齢の幅も大きくなりますが、その他のミネラルと比較すると細かい設定があります。ここでは参考に以下の年齢の推奨摂取量を挙げておきます。

年齢 男性の1日の目標量 女性の1日の目標量 1日の上限
12~14歳 900mg 750mg なし
15~17歳 850mg 650mg なし
18~29歳 650mg 600mg 2300mg
30~49歳 600mg 600mg 2300mg
50~69歳 600mg 600mg 2300mg
70歳以上 600mg 550mg 2300mg

思春期は人生において骨密度が著しく上がる時期ですので、カルシウム摂取に上限は定められていません。

しかし、年齢が上がるにつれて上限が設定されるのは、高カルシウム血症を防ぐためです。毎日の健康に必要な量を摂取することはとても大切ですが、何事にも限度はあるということです。

ただ、カルシウムは体内に吸収「されにくい」栄養素であるために、自然な食品からの摂取だけで1日のカルシウム量が上限を超えることは少ないといって良いでしょう。

  • カルシウムを多く含む食品…牛乳、乳製品、干しエビ、丸干しのいわし、うなぎのかば焼き、木綿豆腐、小松菜、チンゲン菜、モロヘイヤ
  • カルシウムの吸収を促進する栄養素…ビタミンD、オリゴ糖、乳糖、適量のたんぱく質
  • カルシウムの吸収を低下させる栄養素など…シュウ酸(ホウレンソウやタケノコ、バナナなどに含まれていますが、一緒に食さなければ問題ありません)、フィチン酸、食物繊維、過剰のリン、過剰のアルコール、カフェイン、喫煙

◎上記で挙げたように、食品にはカルシウムを含みながらもシュウ酸やフィチン酸を同様に含んでいるというものもあります。

そうした「カルシウムの吸収を低下させる」と言われる栄養素に過敏になり過ぎて、バランスを崩した食事をする方がカルシウム摂取には悪影響です。

つまり、たんぱく質を適度に摂り、カルシウムの多い乳製品を定期的に摂取し、さらに日光に当たってビタミンDを作るという生活をしていれば、体内のカルシウムは自ずと健やかな骨を形成してくれるのです。