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数年前に、中皮腫というがんが世間でクローズアップされたのは、まだあなた記憶に新しいのでは?と思います。

この「中皮腫」というがんは、石綿(アスベスト)を扱っていた人が罹ることが多いと言われているがんで、労働災害として訴訟も多くありました。

がんというのはこのように、特定の発がん性物質に多くさらされていた人が多く罹ってしまうがんというものがあります。

肺がんも例外ではなく、世の中にあまたある職業の内、肺がんに罹りやすいとされる職業と言うのは事実として存在します。

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職業性肺がんとは?

冒頭でも述べた、一般的に「中皮腫」と呼ばれるがんも、実は石綿(アスベスト)によって引き起こされる「肺がん」の一種です。

石綿は、その粉塵を吸い込み、体内に取りこむことで肺組織に異常にしてしまいます。この異常の結果として、肺がんが引き起こされるのですが、この場合には、「腹膜中皮腫」と呼ばれるがんが発生するのですね。

これは建設物の解体業者で働いていた人など、アスベストの粉塵を体内に取りこむ機会が多かった人に頻発したがんです。

他には、戦後、裁縫などを生業として働いていた女性のなかには、肺の線維がんに罹る人も多かったと言います。これも、繊維の塵を体内に多く取りこんだことで肺に異常をきたしたと考えられます。

また、身近なところではやはり喫煙による肺がんリスクが高いのですが、これも、一時期まではヘビースモーカー率の高かったマスコミ関係(特に新聞系)の人や、学校教育関係者に肺がんの人が多くいたと言われています。

今では会社でも学校でも、喫煙スペースはほとんどないことが多いので、これらの職業の人の肺がん発生率もやや下がっているということです。

ここまでは石綿とタバコによるリスクをご紹介しましたが、職業性肺がんを起こしやすい原因物質としては、以下のものも懸念されています。

  • 砒素
  • クロム
  • ニッケル
  • クロロメチルエーテル
  • ベンゾトリクロライド

以上の物質は、農薬に使用されたり、さび止め、ステンレスの合金、染料など、多種多様な場面で使用されていますが、やはり触れる機会が多い職業に就いている人は、そうでない人に比べて、多少なりとも肺がんのリスクを抱えていると考えられています。

こうした物質に、日々接せなければならない職業に就いている人は、定期的にがん検診をうけることが何よりも大切ですし、もし万が一、肺に異常をきたした場合に、会社がどのように責任を負ってくれるのか、そうしたことにも注意をしておく必要があるでしょう。

ただ、腹膜中皮腫に関しては、アスベストを使用していた人については、そのほとんどが腹膜中皮腫をアスベスト由来と認定してもらえる動きになってきていますが、他のがんについては、原因物質が肺がんを引き起こしたことをすぐには認めてもらえない場合もあるので、日ごろからそうした物質との関わりをメモでも残しておくことが必要です。

そして、同じ環境下にいても、体質によってがんを発症する人としない人がいますし、少しの摂取量でがんを発症してしまう人もいるので、「Aさんは同じ環境でもがんにはなっていない」ということが、原因物質とがんの発症を否定するものではないということも、頭の端に入れておいてください。