冠婚葬祭のマナーほどややこしく、煩わしいしきたりは他にありません。
まず第一に頭を悩ますのが、相手にとって失礼にあたらないかどうか、そしてそれらマナーの内からどれを適用するのかという難しさです。
経験の浅い若い世代にとっては、全くやっかいで自然に足が遠のく存在でしかありません。
しかし社会に出て家庭を持つと、必然的にお付き合いをしなければなりません。その中でも季節ごとの贈り物のマナーは、社会人としてなるべく早く身に着けておきたい必須科目です。
贈り物の代表は「お中元」と「お歳暮」ですが、ここでは1年を折り返した時点で表舞台に登場する「お中元」について分かり易く紹介しましょう。
これを最後まで読んで、お中元の基本的なマナーをマスターしてください。
お中元の由来と意味を考える
そもそもどうして1年に2度も、同じような物を同じようにやりとりするのでしょうか?
実はお中元とお歳暮には時期的な違いだけではなく、根本的な目的の違いがあったのです。
簡単に言うとお中元は半年を無事に過ごせたお祝いであり、お歳暮は新年を迎えるための準備的な色合いが強い風習なのです。
お中元の歴史は室町時代にまでさかのぼり、一般庶民に広まったのは江戸時代だとされています。当時の贈り物のランキング・トップはうどんやそうめん、考えれば何とも息の長い人気商品です。
それから数百年、現代のお中元事情は大きく様変わりしました。とりわけ商品ラインナップの豊富さは、余りにも多すぎて選ぶ段階で迷いに迷ってしまいます。
一体どんな贈り物を選んだらいいのか、贈った相手に喜ばれる贈り方なんてあるのでしょうか?
今年人気のお中元商品は?
そんな時に参考になるのが、三越・伊勢丹・高島屋などの老舗デパートや、ギフト・チェーンなどのお中元特集です。最近では5月の末から、早くも通販のお中元コーナーがスタートします。
選ぶ時間はたっぷり、でも膨大な商品数の中から絞り込むためには、その年の大まかな人気の傾向をつかんでおく必要もあるでしょう。
お中元を贈る時期について
お中元を贈るには、まず贈り先の地域性を把握しておきましょう。今やお中元シーズンは全国的に統一されているイメージがありますが、贈る時期にはある程度の幅で地域性が見られます。
相手の感覚から大幅にずれた時期に贈っては、失礼にあたる場合もあります。お中元を贈るシーズンについては、必要な予備知識として頭に入れておいた方がいいでしょう。
まごころをお届けするのがお中元
実際に商品を選んだら、後は表書きをしてお届けするだけ。本来は直接相手のお宅に届けるしきたりでしたが、今では宅配便が一般的なので、直送しても失礼にはあたりません。
贈る時期を考えて、商品を選んで贈るだけ。お中元は決して難しくない、こんなに簡単な事だったのです。
でも簡単だからこそ奥が深いとも言えます。適当に選んで贈った物は、相手にもこちらの気持ちがそっくり伝わってしまいます。
つまり贈り物はいつだって、贈り手の心を伝えるものなのです。そういう心遣いがちゃんと相手に伝わるのです。
お中元も贈り物の基本を忘れずに、相手がもらって喜ぶ物を贈ってください。